熊日新聞・きょうの発言 農業を選んだ理由2 

「経済危機にあえぐイタリアで唯一成長を続けている分野が農業で、特に好調なのが有機農業。さらに、さらに、女性が経営者である農業企業が全体の3分の1を占めている」というニュースがラジオから流れてきた。
 前回、私が農業を選んだ理由は「子育てと仕事の両立のため」と書いたが、当時は女性が子育てをしながら仕事を続けられるような社会的条件は整備されていなかった。だから、自分の働く環境は自分で作るしかないと農業を選んだのだが、30年が過ぎた今、女性はもっと積極的に、経営として農業を選び始めているのかもしれない。
 男性の方はどうだろう。私は今、NPO法人・熊本県有機農業研究会の事務所で週2日だけ仕事をしている。その事務所にメールによる決済システムを取り入れようと、クラウドサイトを運営する会社から説明に来てもらった。ところが、全国展開のその会社の社長は40代で、2年間も育児休暇をとった「育メン」だと言うではないか。もう、めまいがするほど嬉しかった。男性が家庭と仕事の両方を大事にし、残業をしないとか、子供のために休みをとるとかが出来る社会が、女性にとっても育児と仕事を両立できる究極の条件なのだから。
 まだまだ、それはごく一部の人達がやっていることかもしれないが、私が農業を選んだ八方ふさがりの時代とは、少しずつ変わりつつあると思いたいな。