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百姓百品の便り
熊日新聞・きょうの発言 農業を選んだ理由2
「経済危機にあえぐイタリアで唯一成長を続けている分野が農業で、特に好調なのが有機農業。さらに、さらに、女性が経営者である農業企業が全体の3分の1を占めている」というニュースがラジオから流れてきた。
前回、私が農業を選んだ理由は「子育てと仕事の両立のため」と書いたが、当時は女性が子育てをしながら仕事を続けられるような社会的条件は整備されていなかった。だから、自分の働く環境は自分で作るしかないと農業を選んだのだが、30年が過ぎた今、女性はもっと積極的に、経営として農業を選び始めているのかもしれない。
男性の方はどうだろう。私は今、NPO法人・熊本県有機農業研究会の事務所で週2日だけ仕事をしている。その事務所にメールによる決済システムを取り入れようと、クラウドサイトを運営する会社から説明に来てもらった。ところが、全国展開のその会社の社長は40代で、2年間も育児休暇をとった「育メン」だと言うではないか。もう、めまいがするほど嬉しかった。男性が家庭と仕事の両方を大事にし、残業をしないとか、子供のために休みをとるとかが出来る社会が、女性にとっても育児と仕事を両立できる究極の条件なのだから。
まだまだ、それはごく一部の人達がやっていることかもしれないが、私が農業を選んだ八方ふさがりの時代とは、少しずつ変わりつつあると思いたいな。
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熊日・今日の発言に掲載「家族農業年」
農業コンクールでもう一つ驚いたのは、私達のような小規模農家が選ばれたということである。国は「企業参入による大規模化と効率化」を進める姿勢を強めているので、夫婦で営む家族農業が評価されるなど思ってもいなかった。
しかし、国連は2014年を「国際家族農業年」と定めたそうだ。家族農業が実は飢餓対策に有効なだけでなく、自然の多様性と農村文化を維持する力があると再評価しているらしい。
百草園では、私達自身が新規就農者だったこともあり、就農希望者を研修生として受け入れている。これまで、短期研修も含めると60人以上の若者を受け入れただろうか。その内の数人は百草園の周りで有機農業を始めているが、誰もが小規模農家である。しかし、彼らによって周辺の約10町歩が耕作され、周りには耕作放棄地がほとんどない。彼らは土手の草を刈り、水路を維持する地域の共同作業に参加し、農村と景観の維持にも役立っている。
百草園では、在来種と言われる、昔ながらの種を自家採種し消費者に届けているが、これもまた、小規模農家だからできる種の多様性の保存だろう。少し赤みが残り、表面に糸が巻いたような筋の入る「糸巻き大根」などの多様な在来種を作るのはとても楽しい。種を採るためには花を咲かせなければならないが、その花も大根の種類によっては薄いピンクが混じるなど、少しずつ違う表情を見せることを街の人は知っているかな。
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鳥インフルエンザのニュース
鳥インフルエンザが多良木町で発生したというニュースが飛び込んできました。
熊本県内では初めてのことです。県は迅速な対応で対処し今のところ拡大は見られていません。家畜保健所から我が家にもすぐ一報が入り、異常がないかの確認がありました。続いて市役所から殺菌のための消石灰を配るので取りに来て欲しいとの連絡がありました。私たちとしては、とにかく感染を防ぐために出来ることをやるだけやって、様子を見るしかありません。
百草園では、野鳥の進入がないようにバードネットを補修したり、殺菌のために鶏舎の周りに消石灰をふり、飲料水に木酢をまぜたり、元々虚弱なインフルエンザウィルスは常在菌が沢山いる中では増えにくいとも言われているので、常在菌の活性化のため鶏舎にEM菌の散布をしたりしています。感染拡大がないことを願うしか
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熊日新聞掲載「きょうの発言」4月2日
3月の確定申告の時、復興特別所得税が2.1%自動的に徴収されるということを知っている友人はほとんどいなかった。ましてや、この税金がどう使われるのか、聞いた人などいるのだろうか。
百草園は、野菜をとってくださる消費者からの寄付で送料を賄い、毎週、福島原発告訴団の武藤類子さんを通して野菜を送り続けている。武藤類子さんは、原発事故を起こし被害を拡大した人々に、責任を求める裁判を起こした人の1人である。
野菜を食べている人から届いた年賀状には「年末最後の箱には、ユズとお餅が入っていて、嬉しかったです。原発はまだまだ不安がいっぱいですが、できるだけ笑って暮らしたいと思っています。毎週野菜の箱を開ける時に、何が入っているのかなーと楽しみです」と書いてあった。
数日前には、「子供達の健康問題、除染ででたゴミや焼却場、仮設住宅での自殺等、状況はますます深刻です。でも皆さんがつながって下さることを心に、4年目も生き延びます」と走り書きされたお便りが届いた。忙しさに謀殺されているのだろうと思う。
まだ誰も司法の場で刑事責任をとっていない福島原発事故。それなにの、再稼働と海外輸出の動きが加速している。放射能は見えない、感じないからといって、何もなかったことにして良いはずがない。私はこの惨事を忘れない為に、福島に野菜を送り、福島の声を聞き続けよう。それが私にできる事だから。
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冬の仕事
冬の間は日が短くなり、働ける時間は短くなりますが、虫も雑草も活動が鈍るし、作つける野菜もありませんので農作業に少し余裕が出てきます。それで、納屋の整備をしたり、田畑の土手を補修したり、畑にかかる藪や木立を切り倒したりと、環境整備みたいな仕事を冬にはやります。
暗渠(あんきょ)
我が家の川沿いの、いつも生き物調査に使う田んぼは、一部が深田になってます。つまり、そこだけがぬかるみでトラクターや田植機がはまりこんで動けなくなるような場所があるのです。通常このようなたんぼはユンボを入れて溝を深く掘り、砂利や排水パイプをいれて埋め戻す「暗渠(あんきょ)」という工事をして排水を良くし乾田にするのですが、うちの田んぼは小さいし曲がっているので暗渠もやりにくいなあと考えていました。そこで、ぬかるところの基盤を固めるために、穴を掘ってぐり石を敷き詰め埋め戻すことにしました。そのために、まずは作業しやすいように排水のみぞつけです。
このとき、ある期待をこめて作業をしました。それは、ドジョウが出てこないかなという期待です。そうです、この田んぼはぬかるみなのでもともとドジョウが居着いていたのです。ところが、何年か前に用水路がコンクリで出来た大きなU字溝に整備されためか、姿を見なくなっていました。田んぼと川が水路を通じてつながっていないと、ドジョウは生息出来ないという話を聞いていたので、「U字溝になって絶えてしまったのかなあ」と気になっていました。どじょうがいた
ところが、いました!それも子供のドジョウが2匹、クワで溝付けをしていたら出てきました。ちゃんと田んぼのなかで世代交代しながら生きていたようです。折角なので本格的は暗渠工事をして乾田にしてしまわないで、ぐり石式簡易改善法で行くことにします。うまく機能してくれるといいのですが。
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今週の研修生
今週の研修生です。
いつもながら、みなさん楽しそう。
ボットン便所に苦労しているみたいですが。
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熊有研養成塾研修生募集のポスター
熊本県有機農業研究会は、新規就農希望者のための養成塾を開いていますが、そのポスターができました。
百草園の今年の研修生の二人が、ポスターの中で良い笑顔で写っています。有機農業を本気でやりたいという方は、NPO法人・熊本県有機農業研究会にご連絡ください。
募集締め切りまじかです。
百草園も、研修農家として登録されています。
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熊本は農業県です
第54回熊本県農業コンクールで秀賞をいただき、表彰式に行って参りました。
経営部門、新人王部門、食と農部門の3部門で32名の個人・団体が表彰される大きな表彰式です。
熊本が農業県であることを頭では知っていましたが、このようなコンクールを54年も続け、農業に関わる人や団体を発掘し続けていることを目の当たりにし、少なからず驚きと感動を覚えました。
熊本県はまぎれもない農業県なんですね。その片隅に、新規就農として住み着き、この日を迎える事ができた事を、とても誇らしく思っています。農林水産大臣賞もいただきました。私達というより有機農業が認められたようで、本当に嬉しいです。熊日新聞の「わたしを語る」欄で有機農園の鶴田ほとりさんが40数年前の有機農業の始まりのこと等を書きはじめています。有機農業をとりまく社会的認知と理解は、私達が農業をはじめた30数年前とは格段に違ってきていることを感じます。
熊本の食と農を守り育てるために、今後何をすることでお返しできるのか、少し考える時間をください。
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ドイツからのお客さん
昨日と今日の二日間、ドイツから日本の勉強に来ているニカさんが、百草園で研修中です。
雨が降ったので、赤い雨合羽を来て作業しています。
オビロさんと二人で英語で話して、楽しそう。
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福島からの年賀状
「千草会」会員有志の支援金に支えられて、福島に毎週野菜を送っていますが、年賀状が届きました。
野菜で笑顔になってくれる、それだけで送りつづけてよかったと思います。福島を忘れないために、今年も野菜を送ります。
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