熊日新聞掲載「きょうの発言」4月2日

 3月の確定申告の時、復興特別所得税が2.1%自動的に徴収されるということを知っている友人はほとんどいなかった。ましてや、この税金がどう使われるのか、聞いた人などいるのだろうか。
 百草園は、野菜をとってくださる消費者からの寄付で送料を賄い、毎週、福島原発告訴団の武藤類子さんを通して野菜を送り続けている。武藤類子さんは、原発事故を起こし被害を拡大した人々に、責任を求める裁判を起こした人の1人である。
 野菜を食べている人から届いた年賀状には「年末最後の箱には、ユズとお餅が入っていて、嬉しかったです。原発はまだまだ不安がいっぱいですが、できるだけ笑って暮らしたいと思っています。毎週野菜の箱を開ける時に、何が入っているのかなーと楽しみです」と書いてあった。
 数日前には、「子供達の健康問題、除染ででたゴミや焼却場、仮設住宅での自殺等、状況はますます深刻です。でも皆さんがつながって下さることを心に、4年目も生き延びます」と走り書きされたお便りが届いた。忙しさに謀殺されているのだろうと思う。
 まだ誰も司法の場で刑事責任をとっていない福島原発事故。それなにの、再稼働と海外輸出の動きが加速している。放射能は見えない、感じないからといって、何もなかったことにして良いはずがない。私はこの惨事を忘れない為に、福島に野菜を送り、福島の声を聞き続けよう。それが私にできる事だから。