今年も医学部の学生さんと交流!

医学部生
CIMG4454.jpg12月はじめには我が家に恒例のお客さんがありました。熊大医学部の環境保健医学分野の教室が、農と食を基盤にした健康な地域づくりをテーマに、学生に、様々な生活や作業(とくに農業)を訪問、体験させるという企画で、百草園を毎年訪問してくれています。生活や作業の環境と人の安全と健康に関する研究や実践活動の意義とありかたに対する理解を深め、医学の社会における役割を自覚することを目標に、様々な現場の方々と積極的に交流する場を提供することを目的とするものです。
毎年数人の学生さんがきて圃場を見学したあと、鶏をつぶして、だご汁と焼き肉の昼食を囲んで、交流をおこないます。

 有機農業と熊大医学部は、実はとても縁のあるところです。
熊本県有機農業研究会は約40年ほど前にたちあがりましたが、その設立の大きな影響を与えたのは、当時の熊大医学部生達による農村の健康調査でした。その調査で、調査対象の農業者の90%近くに何らかの異常が認められるという、驚愕する実態が明らかになりました。それは、農薬中毒、農夫症、農村婦人の貧血などなどです。生産第一主義の名の下に農村は大きく変貌し、農薬も無防備に使われていた時代でした。
 この調査の結果をうけて、地域全体の中で住民が主体的に医療に参加し、「自分のいのちは自分で守る」住民運動として、1971年に「新しい医療を創る会」が生まれています。 この動きは、医薬品、食品添加物、農薬のあり方に疑問をもつ「いのちと土を守る運動」へと発展し、1974年、医者、学者、農家、消費者等、多彩な分野の人々の参加で「熊本県有機農業研究会」が設立されるという大きな流れとなっていったのです。
 この予防医学の流れを受け継いでいるのが、熊本大学医学部の環境保健医学分野のみなさんです。このような教室と交流をつづけることができていることを、とても嬉しく思っています。

 おもしろいのは、学生たちは解剖の授業体験をしているので、鶏の解体も違和感が無く、どんどんのってくるのです。最初の頸動脈を切って、羽をむしる頃はおっかなびっくりの手つきでやっているのですが、だんだん慣れてきて、そのうちには内蔵の在り方やいろんな部位のことを興味深く探りながら結構手際よくさばいていきます。まさに医学部の学生ならではというところです。そして市販の鶏肉と違って歯ごたえのある解体鳥も、いつも残さず食べ尽くしてくれます。
 ほぼ一日がかりの企画ですが、食べ物や生産の現状にしっかりと関心のあるお医者さんに育ってくれることを願って毎年楽しくつきあっています。