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百姓百品の便り
新米の年間予約が始まりました
←飼料米の穂。ヒノヒカリやコマチに比べてとても長く倒れてしまいます
▼新米の配達が始まります
いよいよ今週から新米の配達が始まります。山間地の今年の作柄は早い梅雨の入りと長雨、低温がたたって初期生育が悪く,不作だったそうです。平坦地では、なんとか平年並みというところでした。周りの話を聞くと、見かけほどには中身が無く脱穀してみたら平年以下というところがほとんどのようです。▼今年は単品の注文はうけることができません
一方、年間予約の方は、有り難いことに何年かぶりに大幅増加です。年間予約の方を最優先しますので、今年は、いつも余裕の部分でまかなっていた単品出荷や店舗出しは無しということになります。▼にわとり用の飼料米も順調です
昨年から鶏の餌用の飼料米も作っています。昨年は初めての取り組みで、収量も悪かったのですが、今年は今からの刈り取りですが去年よりはずいぶん良さそうです。どうやら、ニワトリの餌を、一年間くず麦と半々で与えられそうな量を確保できそうです。去年は7月いっぱいで自家栽培の飼料用米は終わってしまいましたので、これは前進です。この飼料米の栽培は農林水産省の補助金つきの事業ですから、人が食べる分に転用することは固く禁じられています。刈り取りの時期も役所からチェックに来ますし、毎月の使用量も報告しなくてはいけません。
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百姓百品の便り
今年も医学部の学生がやってきた
今年もまた、熊大医学部の学生が百草園にやってきました。
環境保健医学分野を学ぶ医学生で、食と農を基礎とした健康な地域作りをテーマとした研修のプログラムです。引率された上田先生は、農村医学会の会長をつとめられた方です。
外科学会や内科学会とかは聞いたことがあっても、農村医学会という領域があるって事を知っている人は少ないのかもしれないですね。
この学会で言われる「健康な食は健康な農村から産まれる」という言葉が私は大好きです。
農村の健康ことを学問としてとらえてくれるお医者さん達がいるなんで、すごいと思いませんか?30数年前、熊本では、医学生が農村には入り健康調査をやっています。
農夫症やひどい貧血など、調査から明らかになった農村のひどい健康状態が基本となって、医者、農業者、消費者などの多彩な人々が参加し「熊本県有機農業研究会」が創設されました。「健康な食は健康な農村から産まれる」
という、言葉が社会運動として動き始めたのです。そのような歴史に支えられた研究室なのですが、百草園では、毎年、医学生が鶏を解体して焼き肉にし、私達は小麦粉を使って郷土料理「だご汁」をつくり、一緒に食事をしながら交流、意見交換をしています。
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鹿本農高生がきたよ
この数週間、とにかく忙しくて、ブログをアップできなかった。。。。
明日こそ、明日こそと思いつつ、今日も夜の10時になったのに、まだ仕事が終わらない。
いつブログ復帰できるのか分からないので、とにかく簡単にでも書く事にしよう。本当は、ゆっくりと、心に浮かぶ映像を表現する言葉を探す事が楽しいのだけれど、この非常事態にそんなことは言っていられないみたい。
10月初旬。鹿本農業高校より研修生が2人やってきました。1週間一緒に働きます。
高校生が来るとそれだけで農場が若やいだ雰囲気になり、とてもよいです。
写真は研修一日目の稲刈りです。この田んぼだけは手刈りをして、掛け干しをします。
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麦はドライアイスで保管
先日、麦にドライアイスを入れました。
本来、穀物には虫がつくのが自然。だから、太平洋を船便で何ヶ月もかかって運ばれる穀物などは普通、燻蒸処理がされています。百草園ではどうしているかって言うと、もちろん薬はつかいません。そこで登場するのがドライアイス。
たくさんのポリタンクを用意し、麦をほぼ満杯にいれ、最後にドライアイスをいれます。すると、ドライアイスはすぐに気化をはじめ、白い煙をだしながら炭酸ガスになって消えていきます。この炭酸ガスは空気より重いので、タンクの底にゆっくりと沈みながら、もとあった空気を追い出して入れ替わるのだそうです。だから、この段階ではタンクの口は閉めてはいけません。タンクの中が炭酸ガスで占められたはずの頃を見計らって、口を閉じます。炭酸ガスの中では虫も生きていけないでしょう。それに、麦の劣化も抑えることができるという一石二鳥の方法なんですよ。
そんな風にして半年以上保管した麦を、粉にするためにポリタンクからとりだし、近くの水車小屋にもっていきます。
ちなみに、お米は昔ながらの籾保存です。
籾って知っていますよね。玄米を包む固い鞘(さや)です。これが一番虫にやられないし、味も維持できるようです。
消費者のみなさんに届けるたびに、百草園にある籾スリ機で籾スリをし、白米にするときは、さらに精米をし、届けています。
結構手がこんでいるでしょう!
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季節の野菜、主役交代!!
※ 写真・白菜の間引き菜を研修生と収穫しているところです季節の野菜、主役交代!!
8月末にまいた白菜と大根の間引き菜が出始めました。それにつれて、夏の間セットの青物の中心でがんばっていたモロヘイヤとエンツァイ(えんさい)に花が咲き種ができ始めました。エンツァイの花は、白い朝顔似の大きな花です。これらは、自家採種分を残してかた付けに入り、セットの青物主役交代です。
間引き菜の味は格別
大根にしろ白菜にしろ、何度かにわたりずらして作付けます。当然そのたびに間引き菜はでるわけですが、間引き菜のありがたさについていえば、最初のものは格別です。ずーっと青物の少ないのを我慢して待ち続け、ようやく出てきた間引き菜は香りも味も特別に感じます。最近は何でもかんでも、旬を無視して一年中市場に出回っているのがふつうなので、それを気にもせず使っている人は、秋口に出る間引き菜を初めて食べる喜びなどとは無縁かもしれません。
そんな間引き菜類もあとの方になってくると、いろんな種類のものがダブってきてもてあましになってしまいます。それらは、今度は鶏たちの緑餌としてふんだんに与えられ、夏の間、堅い雑草しかもらえなかった鶏たちは大喜びです。緑のものを多く食べるにつれ卵の味も黄身の色もだんだん濃くなってきます。うるち米から餅米、そして飼料米の稲刈りが始まるよ
田んぼの方も9月で水を切って一斉に熟れ始め、黄金色に変わっていきます。我が家では例年10日が過ぎる頃から稲刈りに入ります。まずうるち米を刈って、続いてもち米と楽しみのどぶろく用の酒米を刈り、そのあと、今度は鶏用の飼料米を刈り終わる頃には10月も終わっていることでしょう。その傍ら、秋野菜の作付け、管理。収穫、田んぼのあとは小麦と菜種の作付け準備と目の回るような忙しい日々が始まります。でも、あえぎあえぎ働いていた、夏と違い、この時期は体を動かすのも快適です。よくしたもので、だんだん雑草の勢いも落ちてきて、おかげで、夏には考えられなかったような仕事のはかどりで、何とか帳尻が合っていくものです。
実りの秋を皆さんに速く届けられればと思います。
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9月の露地野菜、苦労してます
9月は露地野菜栽培の中で4月と並んで、一番品揃えが大変な時です。
春から作付けた夏野菜が一通り終わってしまい、秋冬の野菜の作付けに転換する時期がこの9月で、端境期(はざかいき)といいます。収穫でできる品目が少なくなってしまう時期のことです。この時期の畑仕事は、春野菜の残滓の片づけからはじまり、堆肥や肥料まき、土手草の刈り込み、そして、作付けの耕うんと進んで、ようやく、苗ものの植え付けや直まき栽培の野菜の播種(はしゅ)が始まります。
でも、秋作のための種まきは、まだ残る暑さと乾燥のためにうまく発芽することができず、まき直しになることもしばしばです。今年は、人参の1回目はほぼ失敗で、2度目にまいたものが、ようやく発芽しかかっています。これが出そろわないときは、3回目をまかねばなりませんが、9月始めまでにはまき終わらないと、成長の途中で冬の寒さにぶつかってしまい、間に合わなくなってしまいます。苗床で、苗として準備するキャベツ類やレタス類も、暑さのために出る立ち枯れなどの病気のために、まき直しやまき足しを繰り返すことになります。近所の農家にいわせると、「消毒済みの購入床土や立ち枯れ対策の農薬を使えば安心タイ。」といいますが、有機栽培ではそんなものは使いません。残暑を読みながらの仕事で、毎年とても苦労するところです。
野菜セットにはサツマイモなども早堀で対応しますので、小さな芋がはいるかもしれません。
10月半ばまで待ってください10月半ばくらいになると、えだまめ、間引き菜などもではじめて、少し賑やかになると思います。それまで、単調なセットになりますが、消費者の方々も食べ方を工夫したりしながらつきあっていただけると有り難いです。よろしくお願いします。 間 司(はざまつかさ
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放射性物質の除去って。。。
放射能の汚染の除去の事が書いてあると、食い入るように読むのですが、結局、除去といっても、放射性物質を隔離して、人間の体内に入ることを防ぎ、内部被爆を起こさないようにするための対策のようです。決して放射性物質それ自身が分解され、自然界から今すぐなくなることではない。。。
だから、対策は
・汚染された土や、作物を除去して、どこかに隔離する。
・汚染された土の中に放射制物質を吸着する作用のある、バーキュライトなどの土壌改良剤をいれ、分散と浸透を防いたうえで、土を除去してどこかに隔離する。
・ナタネなどの作物に吸収させて、それを収穫し放射制物質を集めて隔離する。などのように、「隔離」という言葉が最後はつきます。
つまり、除去とは「福島原発がバラまいてしまった放射性物質をどれだけ回収でき、隔離するか」という事につきるようだと、あらためてつきつけられて、愕然としています。
これまで公害をおこし問題とされてきた水銀などの科学汚染物質と違って、それ自身の半減期以外に自然界がもつ浄化能力はないようです。そんな物質が体内に入ってしまった場合は、被害を最小に押さえ、早く対外に出すために、
・体内に入ったものは、放射線が作ると言われるフリーラジカルの影響が少なくなるように、抗酸化の力のある食べ物を食べる。
・セシウムなどを固定する性質のある物で、腸から体内に吸収されないものを食べ、対外に排出させる。
などの方法が紹介されはじめています。こんなコントロール不可能なものを生産し続ける原発エネルギーは必要なのでしょうか。
他の方法でエネルギーをつくる知恵を予算化してほしいと心から思います。それから気になる事がもう一つ。人間の体内被爆を最小限にすることは緊急課題ですが、他の生き物の体内被爆はどうなんでしょう?
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小麦粉と小水力発電
百草園の小麦粉は水車小屋で挽いています。
強力粉、中力粉、薄力粉の3種類。
もちろん、無農薬の有機栽培で、バリバリの国産小麦粉というか、百草園で栽培した小麦を使った小麦粉です。水車小屋は植木町を横切って流れる合志川の水を製粉小屋に引き入れ、その流れの勢いでタービンを回し、水車の動力にしています。
最近、再生可能な自然エネルギーの一つとして小水力発電が脚光を浴びてきていますが、ここには40年も前からそれがあったのですよ。びっくりです。でも、
「九州電力が電気はいらないと言ってきたので、それから電気はおこさないで、水車だけを回すようになった。」と水車小屋のお母さん。全ての自然エネルギーを買い取る事がやっと法律で決まりましたが、実は、昔から地域や会社で作られる電気があったのに、それが買い取られる仕組みがなかっただけなんですね。
「水車を動かすために、水利権を何十年も払い続けたのに、水車が止まると水利権がなくなる。」と、小麦を作る百姓は少なくなったというにの、今でも村でただ一件だけ粉を挽き続けてくれています。
粉を挽くのに電気代がかからんから、少しきたなか小麦でも時間をかけて磨いて粉にできるとよ。電気でしている所は、お金がかかるから、小麦を選ばないとやっていけないもの。」と、雨続きで出来の悪かった今年の小麦を前にして、嬉しそうに話してくれました。
※小麦を磨く………小麦同士の摩擦で、小麦についている汚れをとってやること。そうすることで、小麦はきれいな小麦になり粒も揃い、良い粉ができます。
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田んぼのクモの巣はきれいです
7月30日の「田んぼのいきもの調査」の時、指導に来ていただいた甲守先生がほめてくださったのは、田んぼにいるクモの種類と数の多さでした。でも私達の経験からすると、7月はまだまだクモの少ない時期です。8月、9月。早朝に田んぼを見回ると、朝露に濡れたクモの巣が田んぼ全面を覆っているのを見る事ができます。キラキラと朝日に輝いて、それはそれは美しく、クモ達が田んぼを守ってくれていると感じる瞬間です。
今年は雨が多くて、クモは田の表面にクモの巣をはることができないようで、やっと稲穂に隠れて巣を張っている写真が撮れました。
田んぼに住む生き物のうち、農薬に一番弱いといわれるクモ。そのクモがいるということは、クモの餌になる小さな虫達がたくさんいるということですよね。そして、その小さな虫達が餌にするもっと小さな生き物がいて。。。。
田んぼでお米をつくるのは人間の力だけではなく、そこに住む多様な生き物達の協力があってこそのもの。
今年観察できたサワガニ、小さなえび類、ヤゴ、ガムシ、とんぼ、チョウチョ、バッタ、カエル、くも等30数種の生き物達、がんばれ!
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再生可能なエネルギーで日本が満たされる日をイメージして
映画「ミツバチの羽音と地球の回転」の監督・鎌仲ひとみさんのトークを聞いて思ったこと。
■エネルギーが選べる社会の先に
20年後か50年後、もしくは100年後。原発ではなく、再生可能なエネルギーで日本が満たされる日があるはずです。
大地を、いつなくなるかも分からない放射能で汚染され、このままで良いはずがありません。
「原子力の平和利用は必要で、それがなければ日本の産業はなりたたない」、「危険はない」という根拠のないキャンペーンに対抗するには、「嫌なものは嫌」という意思と、正しい情報を多くの人が知る事が必要のようです。情報が公開され、電気と送電線の独占がくずれ、1人ひとりが原子力が必要かどうかを判断し、自分が購入する電気の種類を選択できるようになった時、再生可能なエネルギーで日本が満たされる日がくる可能性があることを知りました。
■未来をイメージできる力を
今、Face bookを作ったザッカーバークの本を読んでいますが、彼は、ソーシャルネットワークが広がり、個人の情報と意見を「自分の責任で発信する」ことで、世界と個人の関係が変わり、情報の透明性が可能になることを信じてというか、イメージできていて、どんな批判にもFace bookの立場を譲らなかったわけです。
確かに、世界の人々が直接ネットを通じてつながることで何かがくずれつつあります。ザッカーバークの、今ある壁の正体を感じ、それを壊した未来に何があるのかイメージできる力が、新しいものを作るんだなと思っていた矢先の鎌仲さんのトークでした。
私も原発を拒否することで、来るはずの未来をイメージする力が欲しいです。
(さらに…)